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ジグザグレーザー角膜切開

角膜移植はそのはじまりからすでに100年の歴史を刻んでいます。その治療法は安定していて移植を受けた患者さんの90%を超える成功例が報告され、視力は確実に回復しています。
日本では角膜移植に大切なドナーと呼ばれる角膜の提供者が少ないこともあり、年間に2千件に満たない手術実績です。しかし移植医療の先進国であるアメリカでは年間5万件を超える移植手術が行われています。 そして今、レーザーによる医療技術の目覚ましい発展とともに、角膜移植の領域に新しい時代が訪れています。

角膜移植の新時代の開幕

レーザーの最新技術は、角膜移植の手術の際、角膜を切開することに対して、患者さんに大きな安心と安全をもたらせてくれました。レーザーのコンピュータ制御による3次元的な“ジグザグ”角膜切開は、トレパンを使用して切開を行う従来の角膜移植に比べて角膜の切断方法に多様性と手術の安全・安定という可能性を大きく拡げてくれました。

コンピュータ制御による”ジグザグ”角膜切開

“ジグザグ”とはコンピュータ制御による3次元的な角膜切開のことをいいます。アメリカで開発されたイントラレースFSレーザー機器によって行われます。この手法は切開面(エッジ部分)をジグザグ(凹凸)の形状にすることで、ぴったりと傷口を密閉することができます。

角膜表面に段差を作りにくく、眼球からの房水の漏れなどのトラブルを防ぎ、切開による傷の回復時間も短く、縫合も簡単なため、従来の角膜移植に比べて手術時間が大幅に短縮されました。そのため患者さんの心身ともに負担を軽減することができました。まさに胸が高鳴るようなプラスの連鎖が時代の中で生まれています。

全層角膜移植 PKPについて

全層角膜移植は、角膜を構成する上皮層、実質層、内皮層の全てを切除し、提供された角膜と置き換えて、縫合する手術です。 全層角膜移植が必要な場合は、長期にわたった水泡性角膜症、全層性の角膜混濁、角膜内扉変性症、角膜実質炎、角膜瘢痕、円錐角膜、角膜ジストロフィ、内皮に及ぶほどの感染が見られる場合や再移植などです。

全層角膜移植は長年行われているため、安全な手術であることが実証されています。デメリットとしては拒絶反応が起こることがあることや術後に乱視になってしまうことがあります。
全層角膜移植は、一般的には部分麻酔で行いますが、白内障などの手術を同時に行う場合や患者さんの希望によっては全身麻酔で行われます。

  1. 強膜リングを縫着します。
  2. 角膜を切除します。
  3. ドナー角膜を縫いつけます。

手術後は房水が漏れていないかどうかをチェックします。

DSEK と 角膜パーツ移植

 また医療機器の進歩に助けられ、医療行為も進歩しています。例えばDSEKと呼ばれる角膜移植の手術などは、角膜を全て取り替えるのではなく、患部である角膜の内皮層またはデメス膜のみを取り替える手術です。角膜の周辺部を数か所切開し、そこから内皮層またはデメス膜を取り出し、移植片を挿入します。DSEKは角膜の残りの部分は健全のまま残されます。そのためるため、手術を短時間で終えることができ、手術後の縫合も数か所だけなので、手術時間は1時間前後と飛躍的に短縮され、角膜移植の術後に多く発生する乱視も出る頻度が抑えられています。

またALKと呼ばれる全部層状角膜移植、DALKと呼ばれる深層層状角膜移植、LTまたはKEPと呼ばれる上皮移植など、レーザーや医療機器の進歩とともに、病気の部分だけ移植する「パーツ移植」法が開発され、患者さんの症状に細やかに対処し、拒絶反応などの術後のトラブルがなく、最短距離で視力を回復できる、そんな移植医療が実現しています。また、角膜だけでなく結膜も含む眼表面再建手術を行うこともできるようになりました。

角膜パーツ移植と最新レーザー機器

角膜パーツ移植は、レーザーの技術革新により確かな第一歩を踏み出しています。その大きな存在が、2011年、厚生労働省が認可したイントラレースFSレーザーです。同レーザーの最新機種では、角膜の切開が正確に行うことが可能となり、より安全な角膜移植が可能になっています。

レーザーによる角膜切開の新時代

角膜パーツ移植は、イントラレースFSレーザーにより角膜を正確に切開することが可能になったことが大きな特徴です。イントラアレースFSレーザーによって正確に切開された角膜は、フラップのエッジの部分を角膜に対して垂直に作ることができます。双方に凹凸面を作ることでぴったりと傷口を密閉することができ、角膜表面に段差を作ることなく移植することができます。

このことが、最小限の縫合での移植を可能にし、術後のトラブルや患者さんにとっての不快な症状を最大限に抑え、より速い治癒を実現しています。また移植片がパズルのようにはめ込まれることにより、創口の閉鎖性が優れ、従来の角膜移植と比べると創口部からの房水の漏れに対しての抵抗力が7倍になるとされています。

イントラレースFSレーザーによりカットされた角膜移植片

角膜パーツ移植のために切開された角膜移植片には3つの形があります。トップハット型、マッシュルーム型、ジグザグ型です。

 FS(フェムトセカンド)レーザーにより作成した角膜移植片の例

トップハット型はLKP表層角膜移植

角膜の上皮層、実質層の一部のみを切除して、悪いところだけを切り取り移植する手術がLKPです。外傷後や角膜炎後の傷跡や実質型変性症など角膜の表面部分浅い部分だけが濁っている場合に行われます。角膜内皮層は切除することはなく、そのため拒絶反応の可能性が低いのが最大のメリットです。

マッシュルーム型はDLKP深層層状角膜移植

角膜の上皮層と角膜実質層を全て切除しますが、デスメ膜と角膜内皮細胞は残しておく手術がDLKPです。深層層状角膜移植は、内皮機能のほぼすべての疾患で行うことができます。

実質混濁
・ヘルペス角膜炎後 ・角膜実質炎後 ・角膜脂肪変性・感染・外傷後傷跡
・上皮型・実質型ジストロフィ

角膜変形
・円錐角膜 ・LASIK後Keratoectasia
・球状角膜  ・ペルーシド角膜変性症

その他
・角膜くつ孔 ・活動期角間買う感染症
この方法では、角膜拒絶反応が起こりやすい角膜内皮細胞を、自分の細胞のままで残すため、拒絶反応がほとんど起こりません。

ジグザグ型はPKP全層角膜移植

角膜を上皮層、実質層、内皮細胞まで全てを切除して角膜を移植する方法がPKP全層角膜移植です。最も基本的な方法であるPKP全層角膜移植は、この100年間着実に行われ、患者さんの視力を取り戻すことに尽力をしました。

イントラレースFSレーザーによって、ジグザグ型に切除された角膜は、双方に凹凸面をつくりぴったりと傷口を密閉することができ、パズルのピースをはめ込むように、角膜表面に段差を作ることなく、傷口を併せることができるようになりました。

全層角膜移植が適応される疾患
・水泡性角膜症・全層性の角膜混濁・円錐角膜・再移植・角膜ジストロフィ

ジグザグ型に切開するPKP全層角膜移植は、角膜表面に段差を作りにくく、眼球からの房水の漏れなどのトラブルを防ぎ、切開による傷の回復時間も短く、縫合も簡単になりました。このため、従来の角膜移植に比べて、手術時間が大幅に短縮され、拒絶反応の可能性も低くなり、術後に心配される乱視もその発生を抑えることができるようになりました。

FS(フェムトセカンド)レーザーでDSEAK内皮移植

人工前房とマイクロケラトームを使用して行われていた内皮移植では、マイクロケラトームに代わるものとしてイントラレースFSフェムトセカンドレーザーを使った角膜の内皮だけの薄い角膜片を作成し、これを内側に空気で押さえ、貼り付け移植手術を行います。前房側からデスメ膜と内皮を除去し、ここに深層実質層とデスメ膜、内皮細胞が付いたグラフとを接合します。現在アメリカでは全層角膜移植の半分以上がDSEAK内皮移植に変更され行われていると言われています。

適応される疾患は内皮障害で角膜浮腫になっているものや、水泡性角膜症などです。
内皮移植は全層角膜移植に比べ角膜前面の形状変化が少ないため、乱視や不正乱視が少ない、術後の視力回復が早い。術後視機能の変動が少ない。縫合の糸にまつわる合併症、糸の緩みや断裂、縫合糸感染がない、異物感が少なく外傷に強いことがあり、その結果拒絶反応が少ない結果が出ています。

以上の手術は必要に応じて単独または組み合わせて行われることもあります。

 

  • 小田切病院 (インターナショナル・アイ・ネットワーク) - 角膜移植・円錐角膜
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